倉頡(そうけつ)輸入法とは?【解説&練習】

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私には中国育ちの友人がいるのですが、ある時、その友人が何かを中国語で検索しているのを覗いてみると、ちょっと面白い入力方法を使っていました。
聞いてみると、それは「拼音入力」だと言っていました。気になって後で調べてみたところ、中国語の入力方法には実にさまざまな種類があるようです。
その中で、特に私が面白そうだと思ったのが「倉頡輸入法」でした。
今回は、この「倉頡輸入法」について初心者目線で調べたことをまとめてみたいと思います。

倉頡輸入法ってなに?

倉頡輸入法は、漢字の形・構造に基づいて入力する中国語の入力方式です。
1976年、朱邦復氏によって考案されて以降、主に香港、一部台湾などで使われてきました。当初は、「形意檢字法」という名称でしたが、後に中国の伝説上の人物で漢字を発明したとされる「倉頡」にちなんで「倉頡輸入法」という名称が定着しました。
以下にその倉頡輸入法の特徴をまとめてみます。

1.字形に基づく入力方式
  ・倉頡輸入法は漢字を音ではなく、漢字の部品(構成要素)を用いて入力します。中国語の入力方法として一般的な拼音入力方法や注音輸入法が「音」を使って文字を入力するのに対し、倉頡輸入法は漢字を構成する「字根(基本部品)」を使って入力します。この仕組みによって、同音異字が多い中国語においても、より正確な入力が可能になります。
  ・倉頡輸入法は漢字を「字根」という基本的なパーツに分け、それぞれのパーツに対応するキーを組み合わせて入力します。この方式の大きなメリットは、一つの漢字を最大5打鍵以内で正確に表現できるという点です。  例:「味」=「口」+「十」+「木」 → 対応するキーを順に入力することで、「味」という字が直接入力されます。

2.圧倒的な入力効率と正確性
  ・拼音や注音では、同音異字の場合、複数の変換候補から毎回選択しなければならないですが、倉頡輸入法の場合、漢字の形に基づいて入力するため、変換候補を選択するという手間がほとんど不要です。変換候補を選ぶストレスがないというのは非常に良い点だと思います。
  ・ほとんど一発で正確な漢字を入力できるため、スピードが非常に速いです。

3.習得難易度が高い
  ・発音が分からなくても入力できる代わりに、「漢字の形状を正確に認識する」「漢字構造を正確に分解し対応する字根に当てはめる」「倉頡独自の入力ルールを覚える」などといった多くのスキルが求められるため習得難易度が高いです。
  ・習得を容易にするために倉頡輸入法を簡略化した「速成輸入法」がありますが、倉頡輸入法の5打鍵以内入力に対して、こちらは基本的に2打鍵以内で入力する入力法であるため、候補字が大量に出現し、倉頡輸入法に比べて入力速度が遅くなることが多いです。

字母・入力規則

字母

字母とは、漢字を構成する基本パーツで英字キーに対応しています。全キーのうち「難」「重」を除く24字母が基本です。以下にその字母と補助字形をまとめました。

入力規則

倉頡輸入法には次のような入力順の原則が存在します。
・左→右
・上→下
・外→中
例:「明」は、左を「日」右を「月」とし、それぞれのキーを順番に打ちます。
漢字の書き順とは異なるため注意しましょう。

練習

以下に実際の倉頡の入力例を挙げています。参考に練習してみてください。

漢字 字根分解 解説
木 + 弓 + 木 「木」は漢字の上の部分、「弓」は子の上部分、「木」は子の下部分です。
口 + 十 + 木 「口」は左側、「十」は未の上部分、「木」は未の下部分です。
日 + 月 左右の二部分から成り、左が「日」、右が「月」です。
ト + 金 「ト」は上の横倒しにした部分、「金」は下の八の部分です。
木 + 十 + 口 「木」は木へん部分、「十」は古の上部分、「口」は古の下部分です。
ト + 口 「ト」は上部分、「口」は下部分です。
土 + ト + 人 「土」は上部分、「ト」は4・5画目の部分、「人」は最後の左払いと右払いの部分です。
中 + 戈 + 一 「中」は虫の上部分、「戈」は虫の最後のちょん、「一」は右の工の部分です。
弓 + 田 + 火 「弓」は最初の二画、「田」はそのまま田、「火」はれっか部分です。
金 + 尸 + 竹 「金」は八の部分、「尸」は刀の一画目の部分、「竹」は最後の左払い部分です。
木 + 金 + 戈 「木」はきへん、「金」はハの部分、「戈」はムの部分です。
水 + 月 + 弓 + 木 「水」はさんずい、「月」は爫部分、「弓」は子の上部分、「木」は子の下部分です。
日 + 木 + 竹 + 中 「日」はひへん、「木」はきへん、「竹」は斤の一画目の左払い、「中」は斤の縦棒部分です。
口 + 竹 + 日 + 火 「口」はくちへん、「竹」は鳥の一画目、「日」は鳥の日の形になる部分、「火」はれっかです。

終わりに

今回は、倉頡輸入法についてご紹介しました。
習得にはやや時間がかかりますが、一度身につけてしまえば、中国語入力法の中でも非常に高速かつ正確な入力が可能になります。
また、たとえば「竹」は左払いに使われやすい、というような字根の傾向を押さえることで、応用がきくようになり、より効率よく習得できると思います。

今回は倉頡輸入法を取り上げましたが、中国語入力法にはほかにも嘸蝦米輸入法など、ユニークで興味深い方式が多数存在します。今後は、それらの入力法についても少しずつ触れていけたらと思います。

漢字を使う文化圏の一員として、いろいろな漢字入力の方法を知っておくのもいいですよね!

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